Self Assembly of Particles

backWelcome_to_Archilys.html
 

Self Assembly

2) 自己集合化:コロイドの凝集

3) 安定な自己集合体

1) ナノ粒子の自己集合化による構造体

 局在プラズモン共鳴は、金ナノ粒子単独ではなく金ナノ粒子を集合化させたときに、さらに劇的な機能を発現します。したがって金ナノ粒子を集合化する技術が重要です。

 ナノテクノロジーではボトムアップ技法が注目されています。その世界の流れに先駆けて、化学的・物理的手法により金ナノ粒子を自己集合化する手法を開発し、溶液中に安定して分散できる一次元鎖状集合体、大面積に構築可能な二次元ロッド状アレイ、嵩高い三次元ハニカム構造というユニークな機能を持つナノ構造体を創成しています。このような金ナノ粒子を集合化する技術および得られた構造体は、これからの産業を支配するキーテクノロジーとなります。

一次元鎖状集合

二次元ロッド状アレイ

三次元ハニカム構造

 金ナノ粒子の水系分散液、つまり金コロイドに塩を加えると凝集します。通常、金コロイドは表面に吸着した分子によって電荷を帯びています。その静電反撥によるエネルギー障壁が金コロイドどうしの接近と衝突を妨げ液中での分散を安定化します。塩を加えて液のイオン強度が増すと、その静電反撥の有効な距離(Debye長)が減少し、金コロイドどうしが接近するようになり、やがては低くなったエネルギー障壁を乗り越えて衝突しはじめます。こうして金コロイドは凝集します。

 金ナノ粒子が凝集するとき、局在プラズモンの働きにより劇的な色調変化が起こります。粒子径40 nmの金コロイドの色調は通常ワインレッドですが、凝集すると赤紫から青紫色に変化します。この色調の劇的変化は、金ナノ粒子が集まった凝集体に、自由電子の集団振動の新しいモード、つまり新たな局在プラズモン共鳴のモードが現れ、対応する共鳴波長に大きな吸収が生じたためと説明できます。

 凝集プロセスを注意深く制御してやると、自己集合的に鎖状の凝集体が成長します。この鎖状集合体の長軸方向(longitudinal)には新たなプラズモン共鳴モードが現れ、その結果、吸収スペクトルには長波長側に新たな吸収が見られるようになります。短軸方向(transverse)の局在プラズモン共鳴は単独の金ナノ粒子のものとほとんど変わりません。

 このように凝集という自己集合化プロセスの過程で、さまざまな大きさや形態(モルフォロジー)の集合体が生じ、そのナノ構造に対応する局在プラズモン共鳴が発現します。

 しかしそのまま放置すると、凝集は進行し続け、やがて黒い煤状の微小な塊となって容器の底に沈殿し、ユニークな局在プラズモン共鳴特性は失われます。安定化のために水溶性ポリマーや界面活性剤を使う手法もあります。また凝集を開始させるのにリンカーとなる分子を添加する手法も知られています。しかし、せっかく金ナノ粒子の極表面にある局在プラズモン共鳴を利用しようというのに、その活性表面を封鎖する手段は用いたくありません。

 このような問題があった凝集プロセスですが、独自の凝集停止剤(Aggregation Terminator)を活用することにより、有用な自己集合体を保持安定化することに世界で始めて成功しました。この結果、自己集合体のさまざまな応用への道筋が開かれました。

通常の煤状沈殿

安定な集合体

濃縮の前後でも局在プラズモン共鳴を維持

液中でも安定な集合体

塗布乾燥しても局在プラズモン共鳴を維持

局在プラズモン共鳴を制御安定化し増強ラマン散乱を発現