Gold Nanoparticle

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Gold Nanoparticle

1) 古くて新しい素材:金ナノ粒子

2) 21世紀の光技術:局在プラズモン

 金や銀の貴金属は魅力的な美しい輝きで楽しませてくれます。金属の金は「金色」ですが、光の波長よりも小さな微粒子の状態ではステンドグラスのように美しい発色を見せてくれます

 金ナノ粒子は古くからの色材としての活用に加え、最新の研究では触媒、太陽電池、バイオセンサー、ナノメディシン、光学迷彩と幅広い用途が期待されています。

Trinity Church, Boston

3) 金ナノ粒子に見る光の吸収と散乱

 この効果は、光の波長よりも小さな金ナノ粒子でさらに劇的です。ナノ粒子に局在化した表面プラズモン(局在プラズモン)には、特有の波長において電子の動きが最大となる共鳴が起き、光と強く相互作用します。これを局在プラズモン共鳴と呼びます。

 このときあたかも金ナノ粒子と重なる粒子のように電子が集団振動します。集団振動する電子はまた電磁場に影響を与えるので、局在プラズモンはナノ粒子に局在化する一種の光とも考えられます。

 周辺の誘電率が同じ水のときでも、金ナノ粒子の大きさに依存して光と強く相互作用する波長(局在プラズモン共鳴波長)が変わるために、粒子径の異なる金ナノ粒子は粒子径20 nmのオレンジ色から40 nmのワインレッド、80 nmの紫色といったように多彩な色調を示します。

主に散乱・反射

主に吸収・散乱

 金ナノ粒子は不思議な現象も示します。100 nm以上の比較的大きな金ナノ粒子の分散液に観察者の居るところから光をあてて眺めると濁ってみえます。まるで泥の懸濁液のようです。ところ分散液の背後から光をあてると実は透明です。これは金ナノ粒子の分散液に光を照射したときに、反射、散乱、吸収が起きているからです。いわゆる吸光スペクトルは主に吸収と散乱を、フラッシュを用いた写真撮影では主に反射と散乱を観察していることになります。90度で散乱光を調べると吸収と同じように極大となる波長が現れます。吸収と散乱のそれぞれにおける極大波長は、局在プラズモン共鳴(LSP)波長に相当し、これを調べることにより金のナノ構造の情報を知ることができます。

 金に光があたると、光は電磁波なので金のなかの荷電粒子である自由電子には周期的に変動する電場がかかります。そこで電場のなかの電荷は運動します。電場の周期的な変動によって電子の運動は振動となります。これは表面プラズモンと呼ばれる、金の自由電子の集団振動です。

 金属の性質や周辺の誘電率によっては光の電場振動と電子の振動が共鳴します。そうすると光は金属に侵入し吸収されます。また光の電場振動と電子の振動が逆の電場を生じるときには、光電場が遮断されるので光は侵入できずに反射されます。このように波長によって光と金属の相互作用が変わります。金や銅では金属に吸収される波長が可視領域にあるために、金や銅の美しい金属光沢を私達は楽しむことができます。